東京商工リサーチは2026年2月5日、2025年の上場企業における「早期・希望退職募集」状況について調査した結果を発表しました。調査結果によると、判明した募集人数は1万7,875人にのぼり、好業績企業による人員削減、いわゆる「黒字リストラ」が目立つ年となっています。
■2025年の募集人数は「1万7,875人」。2009年以降で3番目の高水準
人手不足が続く一方で、企業の競争力強化や事業ポートフォリオ見直しを目的とした「早期・希望退職募集」はここ数年、形を変えながら継続しています。特に近年は、業績悪化によらない“黒字リストラ”が増え、人事戦略としての位置づけや対象年齢の在り方が改めて問われているようです。こうした中、東京商工リサーチが発表した2025年の上場企業における早期・希望退職募集の実態調査は、現在の雇用構造の変化を映し出す結果となりました。
調査によると、2025年に早期・希望退職募集が確認できた上場企業は43社。募集人数は合計1万7,875人となり、東日本大震災時の2012年(1万7,705人)を上回った。これは2009年以降で3番目に多い水準です。
前年と比べると、募集社数は57社から43社へと約2割減少した一方、募集人数は78.5%増加しており、少数の企業による大規模募集が全体を押し上げた形となっています。

■好業績企業が相次ぐ「黒字リストラ」、中高年層が主な対象に
2025年の特徴として挙げられるのが、業績悪化ではなく、将来を見据えた事業転換を背景とする「黒字リストラ」の広がりです。
三菱電機は「ネクストステージ支援制度」によってグループ全体で約4,700人の応募を見込み、パナソニックHDも構造改革の一環として人員削減規模が1万2,000人に拡大しました。ほかにも、三菱ケミカルグループ、明治HD、ソニーグループ、日清紡HDなど、有名企業が名を連ねています。対象年齢は中高年層が中心となっており、三菱ケミカルグループでは50歳以上の1,273人、明治HDでは50歳以上の44人が応募するなど、年齢層の固定化も進んでいるようです。
■業種別では「電気機器」が最多。製造業を中心に構造改革が加速
業種別では、「電気機器」が18社と最多で、全体の4割超(41.8%)を占めました。パナソニックHD、ジャパンディスプレイ、三菱電機など、大規模な人員削減を伴う企業が並んでいます。次いで、「食料品」、「金属製品」、「機械」、「情報・通信業」がそれぞれ3社ずつで続いた。製造業では競争力強化や事業ポートフォリオの見直しが急務となっており、従来は雇用の受け皿とされてきた分野でも、大きな転換期を迎えているようです。

■構造改革と人事政策が一体化
調査では、賃上げの加速や成長分野への投資を背景に、将来性の乏しい事業部門の整理や新規事業への転換が進んでいる点も指摘されています。こうした動きは、人員構成の見直しと並行して進められており、今後は製造業以外の産業にも波及する可能性が高いと思われます。こうした状況を踏まえて東京商工リサーチは、2026年にかけて「早期・希望退職募集」がさらに強まる可能性があるとしています。
2025年の早期・希望退職募集は、人数規模の拡大と「黒字リストラ」の定着という点で、従来とは異なる局面に入ったと言える状況になっています。業績に左右されない人員の最適化が進む中、企業の人事戦略においては、短期的なコスト削減ではなく中長期の事業構想とどのように結びつくのかが、より一層問われることになりそうです。
参照元:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP702746_V00C26A2000000/

