株式会社東京商工リサーチが2026年6月10日に発表した「採用」に関する企業アンケート調査から、リファラル採用やアルムナイ採用(退職者の再雇用)の普及ぶりと、両手法に対する定着率評価の高さが浮き彫りになりました。調査は同年6月1日から8日にかけて実施され、6,475社から回答を得ています。人手不足やAI・DXの進展で転職市場が活発化するなか、既存の採用チャネルを見直す動きが企業の間で広がっている実態が見えてきました。
■リファラル採用、導入企業は約半数に
同社が企業向けアンケートを集計したところ、リファラル採用とアルムナイ採用の両方を制度化している企業は27%、リファラル採用のみを導入している企業は22.2%にのぼり、合わせて49.2%と約半数の企業がすでにリファラル採用を活用していることが判明しました。企業規模別では大企業の導入率が60.4%と過半数を大きく上回る一方、中小企業でも48.3%に達しており、規模を問わず浸透しつつある採用手法となりつつあるようです。
こうした広がりの背景には、若年人口の減少と転職市場の活況によって、従来型の「待ち」の採用活動だけでは応募者確保が難しくなっている事情があるとみられます。

■定着率トップはリファラル、新卒採用は最下位評価も
従業員の定着率がどの採用方法で最も高いかを尋ねた設問では、「いずれも大差ない」との回答が40.4%で最も多かったのですが、個別手法に絞ると「リファラル採用」が18.5%でトップに立っています。次いで「ハローワーク経由の中途採用」(12.1%)、「新卒採用」(10.4%)、「転職エージェントからの紹介」(5.4%)の順となっており、既存社員のつながりを介した採用が最も定着に寄与すると見る企業が多いことがわかります。

対照的に、定着率が最も低いと評価された採用方法では「新卒採用」が13.8%でトップとなり、「ハローワーク経由の中途採用」(13.3%)、「転職エージェントからの紹介」(12.6%)も上位に並びました。企業規模別に見ると差はさらに鮮明で、大企業では「新卒採用」の定着率を高く評価する回答が26.5%で最多だった一方、中小企業ではその割合がわずか9.1%にとどまり、代わって「リファラル採用」(19%)が首位に立つなど、企業規模によって評価は大きく分かれた結果でした。

■紹介報酬は「無償」が最多、10万円未満が主流
リファラル採用を導入していると回答した企業(3,088社)に紹介報酬の水準を尋ねたところ、「報酬は支払っていない」が40.9%(1,263社)で最も多く、金銭的インセンティブを設けずに運用している企業が半数近くを占めることがわかりました。金額を設定している企業のなかでは「1万~10万円未満」が20.7%(641社)で最多となり、「明確な規定はない」(20.4%、631社)、「10万~20万円未満」(9.8%、303社)が続きました。「20万~30万円未満」は4.3%(134社)、「100万円以上」の高額報酬は0.8%(27社)にとどまっています。企業規模別では、「報酬は支払っていない」を除くと大企業・中小企業ともに「1万~10万円未満」が最多で、大企業28.3%(75社)、中小企業20.0%(566社)でした。報酬制度の有無や金額にかかわらず制度が広く導入されている点は、リファラル採用が必ずしも金銭的インセンティブ頼みではないことが示唆されていますね。

今回の調査結果は、採用チャネルの構成を見直したい人事・採用担当者にとって参考材料となりそうです。特に中小企業においては新卒採用の定着が課題となりやすい一方、既存社員のネットワークを活かしたリファラル採用が定着面で高く評価されている点は着目に値します。
一方で、リファラル採用の成果は既存社員の紹介意欲や職場への満足度に左右される面も大きく、制度を設けるだけで自動的に機能するものではない点には留意が必要です。効果を引き出すには「いまいる社員の働きがいや満足度を高めること」が前提になるとの指摘もあり、単なる採用手法の一つとしてではなく、社員エンゲージメント向上策と一体で検討する姿勢が求められます。
出典:株式会社東京商工リサーチ ※以下のリンクより参照ください
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202969_1527.html

