パーソル総合研究所は2026年7月30日、「人事部トレンド定量調査2026」の結果を発表しました。調査は全国の係長以上の正規雇用者および経営・役員2,000名を対象に実施され、そのうち内資系企業の1,934名を主たる分析対象としています。調査・分析の結果から、生成AIの業務基盤化、賃上げ判断基準の転換、働き方改革の進展など、2026年の人事領域を象徴するトレンドが浮き彫りとなりました。

■人事部の生成AI活用は39.2%。「情報漏洩への不安」が課題に
人事領域における生成AIの活用は、すでに「検討段階」から「業務の必須インフラ」へと完全にシフトしています。パーソル総合研究所の調査によると、正規雇用者の生成AI業務利用率は2025年10月の41.9%から2026年5月には54.3%へと12.4pt増加し、週4日以上のヘビーユーザーも15.6%から21.1%へと拡大しています。
一方、人事部内でのAI活用は約4割(39.2%)にとどまり、活用業務は「一般的な事務・デスクワーク」が中心となりました。議事録・翻訳・メール下書きなどの定型業務から活用が広がり、人事評価・タレントマネジメント、研修・人材開発へと波及しているようです。
なお、人事業務での生成AI活用の課題として最も多かったのは「情報漏洩・プライバシー保護への不安」で66.7%にのぼりました。また、人事部が主導するAI活用の取り組みについて「取り組みは行っていない」が45.6%に上り、約5割の人事部は企業のAI推進に関与していない実態も明らかになりました。

■賃上げ判断基準は「業績」から「人材確保」へ
賃上げの実施状況を見ると、「引き上げ予定/済」の企業は2022年の61.8%から、2026年には73%に拡大しています。これに対し、「改定を実施しない」は25.5%から7.8%へ大きく減少しました。

では、賃上げを実施・検討する企業は、どのような要素を判断材料としているのでしょうか。賃上げ判断のための要素を見ると、「物価動向」が29.7%で最も高く、次いで「従業員の離職防止(26.2%)」、「優秀人材の採用強化(24%)」が続いています。4年前と比較すると、「予算達成度や業績の良し悪し」の要素が大きく減少しており、賃上げ判断基準が「業績」から「人材確保」へ転換している実態が明らかになりました。


■人事の課題として「人員不足」・「専門性不足」が深刻に
人事部の課題として、「人員不足」(45.2%)、「専門性不足」(44.6%)、「企画構想力の低さ」(39.3%)などが上位に挙がりました。人事部は実務運用(採用・人事考課など)では高い関与を示した一方、経営戦略やDX・AI推進など戦略領域への関与は低水準でした。

本調査では、2026年の人事領域を象徴する3つのトレンドが浮き彫りになりました。一つは、生成AIが「特別なもの」から「インフラ」へ変化し、業務効率化と意思決定の精度向上に貢献している点。二つ目は、賃上げ判断基準が「業績」から「人材確保」へ転換し、物価動向・離職防止・優秀人材の採用強化が重視される点です。そして三つ目が、人事部自体が人員不足・専門性不足に悩んでいる点です。人事担当者は今後、自社のAI活用状況と人材確保戦略を再点検し、戦略人事への転換を加速させる必要があるでしょう。
出典:https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20260730-1000-1/