前回に引き続き「部下ができた人へ~シンプル・マネジメントのすすめ⑥」です。今回も新しく部下や後輩ができる人、また現在も部下がいるがもう一度、自分のマネジメントを見直してみようかなと思っている人向けのコラムです。

■結果を生むコミュニケーション

一般に、業務を妨げる、またスピードを遅らせてしまう要因は、次の5つではないでしょうか?
1.優先順位がわからない、間違っている 
2.スキル不足(実行するスキルが足りない)
3.優柔不断(小さなことで迷い、決められない)
4.不安(失敗や低評価への恐れから途中経過の開示遅れ)
5.モチベーションの低下(1~4の結果として起きる) 
これらのことはすべて早めに上司に相談する、質問するなどアウトプットすれば解決する問題です。ほとんど簡単なコミュニケーションで解決するのです。
ところが、それをしないで、一人で抱え込んでいたり、迷っていたりすると、その時間、事業はストップし、多くの場合は、疲労感や被害者意識が増えていくだけです。
当然、モチベーションは低下し、その結果、さらにスピードが落ちます。
そして遅れや問題が外からでもわかる状態になったところで、上司が声をかけ、時間をかけて軌道修正するということになるわけです。
さらに厄介なことに、これらは1回ではなく、大抵、何度も起こっていきます。このためにも業務の流れに沿って、必要な場面をとらえてコーチします。
朝のスタート時、営業から戻った時、書類を作成している時、ちょっと提出が遅れている時、何か進展があった時など、あらゆる場面で、コミュニケーションを躊躇しないことです。
それにより部下にとっては・・・・ 
・着手の時間が早くなる 
・無駄に迷っている時間が減る 
・問題点が早くわかり、手が打てる 
・方向性のずれを確認し、軌道修正ができる 
・アウトプットしてみることで次のアイデアが生まれやすくなる 
・ポジティブなフィードバックによって自信を得て、生産性が増す 
といった状態になり、組織全体の行動と目標達成のスピードが速まります。

■目標達成面談では遅すぎます

一般的に、上司が部下の状態を知ったり、目標への到達状況を確認したりするのに用いられているのが、目標達成面談です。
四半期ごとや半年ごとでは足りない、追いつかないのは、すでにお分かりだと思います。
もちろん面談は、上手に活用されれば、部下について知る効果的な場となります。だから、それを行っていない、もしくは、形式的にしか行っていないのは論外として、たとえ効果的に行っていたとしてもそれだけで部下について知るのは不可能ですね。
やはり頻度が少なすぎます。
時間的にも関係を気付いたり修復したりするのには十分といえないでしょう。
四半期、半年と時間を空けてしまっては、今の生の部下を知ることができません。
そして常に、今の生の部下の状態と業務の状態を知らなければ、組織に求められている成長のスピードは到底得られません。
つまり1回の面談よりも普段のコミュニケーションが必要だということです。
年に数回、1時間面談するよりも、その1時間を20回に分けて、業務の流れに沿って、会話するほうがずっと効果があるのです。
一方的にならず、課題を共有し、部下を見ていくことで自然とコミュニケーションはとれるはずです。
日ごろから、しっかり観察していきましょう。

今回のコラムで~シンプル・マネジメントのすすめ~は終了です。お読みいただき、ありがとうございました。