前回は、「応募編」でのミスマッチについて、原因と対策を探っていきました。今回は「選考編」です。

■自社のデメリットも伝える

自社にとって魅力的な候補者が面接に来られたら、みなさんはどのような面接になりますか?
人事の方は冷静に対処されるかもしれませんが、配属部署の方が面接を担当する場合が多い中途採用では、テンションが上がってしまうのも仕方ありません。
面接官もワクワクしますし、話も弾むものです。ここで注意しなければいけないのは、ついつい採用したいという気持ちが強く出て、自社の良いところばかり伝えて口説こうとすることがよくあります。
もちろん口説くことはとても大切なことです。
ただ、口説くことに躍起になってばかりいると、自社の良い面ばかり伝えてしまいがちになります。
そうなると、最終面接まえにプラスのイメージばかりを持ってしまうため、役員などの面接時に受ける印象と前の面接で受けたイメージとの違いから、候補者は「なんかイメージが違う」という感じになり、モチベーションを下げてしまうことが多くなります。
もちろん最終面接と入社後のギャップでも起こりえることですね。
そうなることを防ぐためにも候補者にとってのメリットだけではなくデメリットも、しっかり伝えることが必要です。
例えば、「プロパーと転職者の方とのギャップはなく、どんどん仕事を任せてもらえる」ということが候補者の志向にあてはまる時には「早期の戦力化を求められるから、裁量も大きいが、現職より残業が増えるかもしれない。可能ですか?」など、実情に合った伝え方になるようにしましょう。
ただ仕事を任せるというメリットを伝えるだけよりも、より仕事の詳細なイメージが伝わりつつ、デメリットも伝えることができますので、候補者が意思決定する際に、その覚悟をもってトライしてくれるようになります。
また、候補者の希望条件に関わるようなデメリットも可能性があれば、面接時に伝えることも考えましょう。
候補者もメリット、デメリット両方を掌握した中で、決断したいと思いますし、それで入社後、実際にマイナスな出来事が起きたとしても乗り越えていきやすくなります。

■採用基準

面接は企業が候補者を評価する場ではなく、企業と候補者双方にとっての相互理解の場です。
面接では、会社や仕事内容の説明、候補者の過去の経験や人物像の深掘り、候補者から企業への質問は行われていますね。
それに加えて、「入社後に期待する成果」も面接時に伝えて欲しいのです。
何を期待されていて、どのように働くのかという入社後のイメージが描けなければ、候補者は入社という決断をしづらいものです。
また自分への期待「なぜ採用されたのか?」「どこを評価されたのか?」が分からないというケースもよく見られ、もやもやした気持ちが拭えず、早期離職につながりかねません。
一歩踏み込んで、面接の質が向上すれば、採用できる人材が変わってきます。
そして良い人材を獲得できるようになれば、強い会社に変わっていくのです。
面接は時間が限られているため、面接する側も準備が必要です。候補者への質問事項、確認事項は何か、会社からお伝えする事は何か、などをあらかじめ用意しておくと、時間を有効に使えますね。
その場のやり取りを尊重して話を進めてしまうと、必要なことを聞きもらしたり、伝え忘れてしまったりすることがあるため、あらかじめチェックリストなどを準備しておくと良いでしょう。
ミスマッチを防ぐためにも「何があれば合格で、何がなければ不合格なのか」という基準を作っておくこと。
採用基準があれば、判断に迷ったり、主観で判断ミスしたりすることが少なくなります。また会社全体で採用基準の標準化ができると、面接官による振れ幅がなくなり、一貫した水準で候補者を評価することができるようになり、ミスマッチ防止につながります。
ミスマッチが気になる企業のみなさんは、この採用基準をできるだけわかりやすく、再編するのも良いかもしれません。

今回はここまでです。次回はミスマッチ「入社後編」です。