帝国データバンクは「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を公表(2024/5/2)、約半数の企業で正社員が不足していると発表しました。業種別ではITエンジニアが不足している「情報サービス」で、7割超の企業が人手不足を感じているという結果です。今回の調査は、2023年度の人手不足に起因する倒産件数が313件となるなど、事業継続の可否を決める大きな要因の一つとなったことを受けて実施とのこと。4月に全国1万1222社から調査結果を得ています。同社は「人手不足割合は高水準で推移しているが、足元では2か月連続で前年同月を下回るなど、わずかながら変化の兆しがみられる」とコメントしています。

■新卒新入社員の入社でも人手不足は高止まり
正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.0%でした。前年同月比で0.4ポイントの低下にとどまっています。非正社員が「不足」と感じている企業の割合は30.1%で前年同月から0.6ポイントの低下でした。

※帝国データバンク調査より

同社は「毎年4月は新卒新入社員が入社することで人手不足が緩和される傾向にあるが、前年同月比でもわずかの低下にとどまり、高止まり状態が続いている」と分析しています。業種別では、主にIT企業を指す「情報サービス」が71.7%でトップとなり、18か月連続で7割以上と高水準が続いています。次いで「旅館・ホテル」(71.1%)、「建設」(68.0%)、「自動車・同部品小売」(64.9%)と続き、8業種で6割を超えています。

※帝国データバンク調査より

■続く就業人口の拡大、「人手不足は低下傾向に転じる」可能性も
厚生労働省の2024年3月時点の労働力調査では、就業人口は前年同月から20か月連続で増加しています。また、同省が発表する新規求人倍率や有効求人倍率も2023年より低下しています。これらの傾向を踏まえ、同社は「今後、人手不足の割合は低下傾向に転じることも考えられる」と分析しています。一方で、IT人材不足が深刻な「情報サービス」や2024年問題に直面している「建設」「運輸・倉庫」、インバウンド需要が高まる「旅館・ホテル」「飲食店」の人手不足は際立っています。同社はこうした業種について、「人手不足で受注し切れないという声が相次ぐなど、機能不全が顕在化している。人手不足が常態化すれば業績の維持・拡大が期待しにくくなるなか、中長期的に人材確保や業務効率化に向けた対策を講じられるかが、今後の事業継続を大きく左右するといえる」とコメントしています。
発表の詳細は以下よりで確認できます。
「帝国データバンク調査」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240501.html