部下のモチベーションを高めたい、一喜一憂せずに仕事してほしい、自分から主体的に動いてほしい、失敗してもめげずに対応して進んでほしい・・・・。
これは上司として当然願っていることでしょう。
ですが、種はまかないと生えません。部下のモチベーションを高く保つためには、上司はまず種まきをしなければならないのです。
「そこまでしなくても」「面倒だ」「大変だ」と種まきせずに、叱咤激励だけで部下が勝手にモチベーションを高めてくれるのを期待しているとすれば、おそらく上司としての仕事は、より大変になっていくことでしょう。
きちんと初期投資をしなければ成長はありません。ビジネスの基本ですね。
みなさんは自分の部署に成長のための投資をしていますか?
結果的にきちんと投資をすれば、みなさんがラクになるのです。
私たちは、時々自分の気が済む行動、気持ちいい行動に頼りがちです。
飲み会を開くことでモチベーションが上がり、上司の仕事が減るなら有効な方法でしょう。以前はそんな時代もあったかもしれないと思いつつ、どの職場でもこれが有効とは限りません(特に今のご時世、飲み会自体も難しいですよね)。

部下に聞く

みなさんへご検討いただきたいのは「部下に聞く」ことを重視してモチベーションを上げていく種まきの方法です。
上司が部下から学び選択肢を絞り込み、部下自身の裁量権で選択して実行してもらうこと。そのうえで行動が改善されるかどうか、しっかり確認作業を行うこと。このように部下本人の納得感を重視することは、今の職場ではとても大切だと思います。
マネジメントを上司の考える型にはめ込んでいくやり方で進めていると必ずしっくりこない部分が出てきます。
「部下はこうあるべきだ」「うちの社員なら仕事はこうやるのが当然だ」といった型は企業によっていつの間にか出来上がっているのです。
そして型にうまくはまらない人は、やめてもいい、いらないといった管理の仕方もないとは言えません。
それが今に時代にどれだけ合わないか、会社の評判を下げるやり方なのかは様々なニュースなどからも薄々はわかっていると思います。こうした旧体質のやり方が浮き彫りになって、社会の敵のように糾弾されているのが今の時代です。マネジメントされる側のことをしっかり見ずに強引に引っ張っていくばかりでは、いずれほころびが出てきます。
それは結果的に上司の仕事を増やすことにつながります。当事者不在のまま上司だけでやり方を進めてしまえば、マネジメントが簡単になったように見えてもメンタル不調の増加・モチベーションの低下、やめる人の増加など、やらなくても良かった仕事が増えていくことになります。
職場の劣化を防ぐには、当事者ときちんと向き合うマネジメントが求められます。向き合う方法がわからないと思う人も多いでしょう。わからないなら教えてもらえばいいのです。
部下をどうしていいかわからないと嘆く前に、当人におしえてもらいにいくべきでしょう。
どうすればミスを減らせる、モチベーションを高められるのかがわかるのは、当人のみ。当人に聞くのが最初の一歩であるべきです。
その時は上から目線でなく、教わりに来たという下からの姿勢で臨むことです。指示をする上司、それにこたえる部下。シンプルでわかりやすいですが、モチベーションを高めることにはつながりにくいでしょう。
また多くの企業はそういう指示待ちの社員も求めていません。自分の考えを持ち、判断でき、高いモチベーションで取り組んでくれる社員を増やしたいと思っているでしょう。
こういう指示は「どうして私ばっかり」と不平等に感じたり、「どうせ私なんか」と孤立感に陥ったり、「指示し従うだけの機械のよう」と裁量権のなさを感じて無気力になっていくのです。
過去には「上手に指示を出して従わせる」ことが求められていたかもしれませんが、もはやそれだけではマネジメントができるとは言えないでしょう。
裁量権を与え、自分として主体的に仕事を受け止めるためには、指示よりも選択肢を示し、そこから選んでもらう方が良いのです。

部下の仕事に責任を持つ

上司は部下の仕事に責任を持ちます。部下のやりたいように放任してしまうと、もうマネジメントとは呼べません。
選択肢は、それのどれもが上司として責任をもって部下にやってほしい内容に絞り、部下が自分の意志で選んだことを意識されることが大切です。
自分で決めたことを遂行していくのですから、主体性を持ちやすく、モチベーションは自然と高まります。
部下を信じられるか信じられないかを考えるよりも、信頼して仕事を任せるために、しっかりと確認作業をすることが必要です。
無意味な問いかけはやめて当人に自分の言葉で言語化してもらうことが、仕事の上では最善の確認作業でしょう。
とにかく当人に考えてもらい、言葉にしてもらわなければ確認したくてもできない。そのうえで、思っていたのと違う点があれば、それについて再度話をするべきでしょう、

うつうつと元気がなくミスが増えている部下がいるとします。
心身の健康の問題については、迷うことなく「気づく・うながす・つなぐ」で対応しましょう。
「どうして元気がないのか?」などと聞く必要はありません。
ただ「問題がある」と気づき、適切なケアを促し、速やかに専門家へつなぐそれだけのことです。
但し仕事のミスなどマネジメントの問題については「教わる・与える・確認する」で対応します。
ここでも「どうしてミスをするのか?」と聞く必要はありません。そのかわり、「どうしたらミスが減らせると思う?」と「教わる」姿勢で問いかけ、共に考えていきます。

〈まとめ(下)〉

・教わるとは仕事上の問題に対し、なぜできないのかではなく、どうしたらかいけつできるとおもうかを本人に聞く事

・与えるとは部下と話し合ったうえで、上司として許可できる範囲の解決策の選択肢を与え、本人に選んでもらう

・確認するとは、話し合いの結果やその後の経過について、部下本人の言葉で説明してもらうことで、双方の認識をすり合わせること。

以上、2回にわたって掲載いたしました。お読みいただき、ありがとうございます。少しでも参考になる部分があれば幸いです。