採用活動で、まず取り組まなければいけないのが「母集団形成」です。
新卒採用であれば、様々な新卒募集サイトに掲載すれば、一定数の母集団は形成できるでしょう。
しかし、経験やスキルを求める中途採用の母集団形成は簡単ではありません。
多くの企業で、転職サイトや人材紹介会社を利用して母集団を形成していると思いますが、その母集団には、本当に求める人材が何人いるでしょうか。
そして、その母集団から優秀な人材をコンスタントに採用できているでしょうか?昨年は一時的に応募者が期待以上に獲得できた時期がありましたが、今年の春以降、中途採用市場は活発であり、今まで以上に人材獲得競争が激化することが予想されています。
各企業が、どこよりも早く優秀な人材を確保し、継続的な成長を実現させたいと考えるのは明白です。
では、優秀な人材はどこにいるのでしょうか。
今すぐ転職したいと考える「転職顕在層」と、そうではない「転職潜在層」の比率は2:8で、転職市場にほとんど現れない優秀な人材は、「転職潜在層」にいるといわれています。
転職サイトや人材紹介会社で形成する母集団は「転職顕在層」ですから、何か違う方法で「転職潜在層」の母集団を形成する必要があるのです。
以下に、転職サイトや人材紹介会社の利用以外で母集団形成に有効な手法をご紹介します。

1.人材データベースの活用
人材紹介会社やヘッドハンターが候補者を探すのと同じように、ビズリーチやLinkedInなど、直接レジュメを見てスカウトメールを送れる人材データベースを活用して母集団を形成する方法です。
求める人材を自ら検索して連絡を取る方法なので手間はかかりますがピンポイントかつ低コストで採用可能です。


2. SNSの活用
 FacebookなどのSNSで「これは!」と思う人材に声をかけ、接点を持つ手法で す。長期的な視点で、まずは自社に興味を持ってもらうことから始めます。

3.社員紹介
転職潜在層を母集団に取り込むのに有効な手法で、社員紹介を促進する方法としては、イベントの企画がとても効果的です。
技術を学べるワークショップや、友人・知人を気楽に呼べる社内イベントなど転職を考えていない人も気軽に参加したいと思えるイベントの開催は自社の魅力づけ・動機づけに適しています。
また、社員紹介による採用の推進に、とても効果的です。
これらに共通しているのは、企業が主体的に行動を起こして母集団を形成するということ。

最初は手間に感じるかもしれませんが、この手間を惜しんでしまうと人材獲得競争で勝ち抜くことはできないでしょう。
人材採用は経営課題に直結し、会社の運命を左右する重要事項です。人事だけがやるのではなく、経営者はもちろん全社員を巻き込む形で母集団を形成しなければ、優秀な人材の獲得はとても難しいものとなるでしょう。
まずは自社に魅力を感じてもらうこと、認知してもらうことから始めてみてはいかがでしょう。これができたら、さらに次のことも参考にしてください。

4.人が集まる場に参加する
現状ではなかなか難しいですが、異業種交流会や同窓会、仲間内で開かれるパーティー、外部のセミナー、勉強会、イベントなど、人が集まる場に積極的に顔を出し、とにかく新しい人脈をつくります。
出会った人には、事業の構想等を許容範囲内で話し、周りに優秀な人材がいないかを尋ねたり、SNS等でつながっておきましょう。

5.スキルの高い社員によるイベントを開催する
こちらはオンラインでも、開催できますね。エンジニアやマーケティング担当による事例セミナー、みなさんによる人事戦略セミナーなど、社内でスキルの高い社員を講師としたセミナーや勉強会、イベントを開催します。
開催するイベントによって出会える人のタイプも変わりますが、いずれにしても、スキルを磨きたい人やビジネスパーソンとして成長したい人など、働くことに対する意識の高い人と出会えるでしょう。

6.社内の取り組みを外に拡散する
イベントや勉強会、プレスリリースなどは積極的にSNSを活用して拡散します。その際、企業アカウントではなく、社員それぞれの個人アカウントから情報を発信することがポイントです。
“企業広告”だと認識されにくいので、多くの人が純粋に「面白そうな会社」だと認知してくれるでしょう。
母集団を増やす方法を難しく考える必要はありません。少しの手間と、発想の転換があれば、一度接点をもった人を「将来仲間になるかもしれない候補者」として捉えられます。
たとえその人自身が仲間にならなかったとしても、仲間になる人を連れてきてくれる可能性があります。また、出会った人の心をつかみ続けられるよう、タイミングよく連絡したり、SNS等で自社の情報に触れられる状況をつくりましょう。そして、しかるべきタイミングで口説くのです。


母集団は少しの工夫でいくらでも増やせます。トライ&エラーを繰り返すことで自社に合ったやり方を見つけて、優秀な人材を採用できる土壌をつくってください。