人材採用は常に「コスト」の問題が降りかかってきます。採用コストには、転職サイトへの求人掲載費用や人材エージェントへの手数料といった「外部コスト」と、面接の時間や労力などといった「内部コスト」があります。今回は、採用の質を高めつつ「内部コスト」を下げる方法について考えてみたいと思います。内部コストを削減するには、自社に合わない人を面接の早い段階で見極める必要があります。しかし、面接官によって候補者の評価が全く異なり、どう判断すべきか迷うという経験をしたことはありませんか?求める人材か否か、社風に合うか合わないかは、誰もが同じ評価を下せるべきで、面接官同士の目線合わせができていないのであれば大問題です。求める人材ではないのに2次面接まで進んだ候補者がいたとしたら、1次面接を通した面接官、2次面接で不採用と判断した面接官、面接を受けに来てくれた候補者、全員の時間と労力(=コスト)をムダにしてしまったことになります。面接官の目線を合わせ、こうした内部コストを削減する方法をあらためてて記載します。

1.会社が求める「コアバリュー」を明確にする

基本的なことですが、基礎的なスキルや仕事に対する考え方、将来に対する思いなど、会社として求めるコアバリューをあらためて明確に定め、言語化します。ただし、言葉の解釈は面接官によって異なるため、以下2、3の工夫をあわせて実施します。

2.面接で話した内容や評価ポイントを書面化する

面接で何を聞いて何を語り、何を見てどう判断したのか、次の面接では何を重点的に確認するべきかなどを書面化して、次の面接官に引き継ぎます。これを積み重ねていくことで「この人はこういうところを見て面接しているんだ」など、面接官の傾向が分かるようになります。また面接への取り組みも多面的に確認できるので、面接官自身の技量向上にも役立ちます。

3.面接した内容を面接官と人事担当がディスカッションする

面接の履歴を見ながら判断基準を話し合うと、面接官の目線が合うようになります。それでもなかなか目線が合わない場合は、複数の面接官が同席して面接を行い、面接終了後にディスカッションをするという方法もあります。同じ候補者をどう評価するかについてすり合わせると、お互いの判断基準を理解するスピードが早まります。書面化して履歴を残したり、履歴を見ながらディスカッションすると、最初は内部コストを引き上げてしまうかもしれません。しかし、これらを実施すると採用ノウハウが蓄積されるため、結果的に会社全体の採用力は向上し、内部コスト削減につながります。誰が面接しても基本的な判断基準は同じになり、効率的に、ブレない採用ができるようになるでしょう。すでに実践されている企業のみなさんも多いかと思います。オンライン面接が浸透するにつれ、この辺の見直しも定期的に推進していきましょう。