「採用する拠点が〇〇県〇〇市と△△県△△市にあるので、その地域で採用したい」というご相談を頂きました。
入社予定者の生活面や会社側の負担を考えると、確かに採用拠点の近郊で良い人材が採用できれば、申し分ありません。
しかし、遠方に住んでいる方でも、活躍してくれる可能性は大いにあります。

◆求人広告の状況

以前も求人広告の状況について触れましたが、最新の状況はどうでしょうか?
以下は、公益社団法人全国求人情報協会がリリースした主要15社からの求人広告データをまとめたものです。

【求人広告掲載件数等集計結果(2020年8月分)】 

8月の職種分類別件数は、全体で 707,275件(前年比-46.8%)でした。

雇用形態別件数は、
全体で615,659件(-49.3%)、正社員 116,437件(-54.2%)、アルバイト・パート 461,742件(-46.5%)、契約社員他 37,480件(-62.1%)となりました。(「雇用形態別件数」表参照)。

※公益社団法人全国求人情報協会 ニュース・リリース 2020.9.25より抜粋


上記はあくまで求人広告の掲載件数の推移ですので、求人数にそのまま置き換えることがはできませんが、4月以降、掲載件数が大きく落ち込んでいる状況に変わりはありません。
現在、求人広告掲載中の企業へお話を伺うと、応募数の増加は顕著なようです。今の時期だからこそ自社に貢献できる人材を採用するためにも視野を広げていただきたいと思います。

◆遠方から応募する方の意欲

例えば地方にお住まいで、東京勤務の求人広告に応募することは、とても勇気がいります。都心から地方への転職も同様です。
テレワークの時代となりつつあっても、いきなり転職での生活環境変化は大変なもので、応募者の覚悟は相当なものと言えるでしょう。
「希望する仕事が見つからない」
「やりたい仕事で地域に関係なくチャレンジしたい」
「家族の理解もあり生活環境を変えるのも良いと思っていた」
「面白そう」など
ポジティブな意識で、かつ覚悟を持って応募しています。
この目的や覚悟は就業意欲に繋がり、困難にぶつかったとしても乗り越えられるだけのエネルギーとして姿を変えてくれる可能性が大いにあるのです。

◆遠方からの応募&選考

遠方者からの応募およびその選考は、どのようにすればよいのでしょうか。
無理に遠い地域に絞って求人をかける必要はありません。
全国版の求人メディアに、求人広告を掲載することが中心となります。
その際の注意点は以下の通りです。

・説明会や面接の地方開催の有無 
・オンライン面接の可否
・最終面接等の対面面接での交通費支給の有無
・住宅手当や寮などの住宅補助制度
・入社時の引越し費用支給の有無
・単身赴任手当制度など
可能であれば、広告に記載すると、より親切ですね。
対応できないものについては載せる必要はありませんが、対応できるのであれば、応募者への強いアピールポイントとなりますので、有効に活用してください。
またこのような制度がない場合、この際にご検討頂けると良いと思います。

◆間口も視野も広げよう

入社決定に至るかは「他社より魅力を感じてもらえるか」になりますよね。
承諾を得て、入社するまで、採用担当者のご苦労は大変なものです。
ライバルが多ければ、尚更です。
では最終的に戦うなら敵は少ない方がいいですよね。そこで他社が狙いにくいところをあえて狙っていく。
住んでいる地域だけで合否を決めるのはもったいないです。
他社が二の足を踏むところには、まだまだ人材がいるのです。
制度がない、経費が嵩むなどクリアすべき課題はありますが、遠方の方を採用するメリットも今一度、お考えいただければと思います。
お応募が集まりやすい今だからこそ、視野を広げた採用活動を行ってみてはいかがでしょうか。