厚生労働省は8月29日、「令和6年(2024年)外国人雇用実態調査」の結果を取りまとめ、公表しました。同調査は、外国人労働者を雇用する事業所における雇用形態、賃金、生活状況、入職経路などの実態を明らかにすることを目的とし、2023年から実施されています。
対象は、雇用保険被保険者数が5人以上で、かつ外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所と、当該事業所に雇用されている外国人常用労働者。今回は、抽出された8877事業所のうち、有効回答の得られた3623事業所と1万1568人の外国人労働者について集計が行われました。

■外国人労働者182万人 在留資格・国籍別に見る傾向
調査結果によると、外国人労働者の総数は約182万人で、前年の約160万人から13.7%増加しました。外国人労働者の人数や在留資格、国籍・地域などの基本的な属性について、前年との比較を通じて動向が分析されています。
在留資格別では、「専門的・技術的分野」が38.9%(前年35.6%)と最も多く、次いで「身分に基づくもの」が27.6%(同30.9%)、「技能実習」が20.2%(同22.8%)となっています。
国籍・地域別では、ベトナムが32.4%(前年29.8%)で最多。中国(香港・マカオを含む)は14.7%(同15.9%)、フィリピンは10.5%(同10.0%)でした。

■外国人労働者の採用経路
外国人労働者の採用においては、日本国内での居住経験の有無によって入職経路が変わります。また、海外からの入職者には入国までにかかる費用負担も見られました。
*日本に暮らしながらの転職は、「知人・友人からの紹介」が多い
日本に居住していた外国人労働者の入職経路は、「知人・友人からの紹介」が35.2%(前年43.0%)で最も多かったです。次いで「求人広告(求人情報誌・インターネット)」が19.7%(同19.3%)、「日本国内の民間紹介会社」が10.8%(同9.9%)、「その他」が10.4%(同6.2%)となっています。
一方、海外に居住していた外国人労働者でも、全体の85.0%(前年85.2%)が紹介会社や個人からの紹介などを通じて入職しています。
内訳は、「出身国・地域の紹介会社・個人」が44.7%(同51.5%)と最多で、以下、「語学学校」16.5%(同9.9%)、「日本国内の紹介会社・個人」12.9%(同13.5%)、「その他の機関」9.5%(同12.0%)と続いています。

■外国人を雇用する理由、最多は「労働力不足の解消・緩和」
企業が外国人労働者を雇用する理由(複数回答)としては、「労働力不足の解消・緩和のため」が最も多く、69.0%(前年64.8%)を占めました。
次いで、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が54.7%(同56.8%)、「事業所の国際化・多様性の向上をはかるため」が15.8%(同18.5%)、「日本人にはない知識・技術の活用を期待して」が13.2%(同16.5%)と続いています。

■雇用に関する課題と労働者側のトラブル
外国人雇用における企業側と労働者側の双方が抱える課題も、今回の調査で明らかになりました。
【企業側の課題(複数回答)】
日本語能力などのためにコミュニケーションが取りにくい:43.9%(前年44.8%)
在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑:24.7%(同25.4%)
在留資格によっては在留期間の上限がある:21.5%(同22.2%)
文化・価値観・生活習慣等の違いによるトラブルがある:20.9%(同19.6%)
【労働者側のトラブル内容(複数回答)】
労働者側で「就業上のトラブルや困ったことがあった」と回答したのは10.9%(前年14.4%)でした。
具体的な内容は以下の通りです。
紹介会社(送り出し機関を含む)の費用が高かった:18.6%(同19.6%)
相談先がわからなかった:14.9%(同16.0%)
事前の説明以上に高い日本語能力を求められた:8.8%(同13.6%)
その他:39.7%(同34.5%)

令和6年外国人雇用実態調査の詳細は、厚生労働省公式サイトで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61317.html