帝国データバンク(東京都港区)は11月17日、2025年10月時点における人手不足に関する企業動向調査の結果を公表しました。
調査によると、正社員の人手不足を感じている企業の割合は51.6%。10月として4年連続で半数を超える結果で、深刻な高止まり状態が続いています。前年同月(51.7%)から0.1ポイント低下したものの、変動幅は小幅にとどまりました。一方、非正社員における人手不足割合は28.3%でした。前年同月から1.2ポイント低下し、正社員に比べて改善傾向がみられます。

■建設・情報サービスなど8業種で6割超の人手不足
業種別に見ると、正社員の人手不足割合が最も高かったのは「建設」で70.2%(前年同月比0.6ポイント増)です。以下は、主要10業種における人手不足の推移をまとめたものです。
「建設」のほか、「情報サービス」を含む8業種で人手不足割合が6割を超えました。

企業からは、「人手不足の影響により案件があっても受注できない。人件費や資材費等の値上がり分を価格転嫁できず、利益確保が難しい」といった声が聞かれました。非正社員では、「旅館・ホテル」が2023年11月以来、23か月ぶりにトップとなりました。前年同月でトップだった「飲食店」では改善がみられ、DXやスポットワークの活用が生産性向上につながっているとみられます。「人材派遣・紹介」は派遣人材による活発な人員確保の動きからは高水準で推移し、全業種で6割を下回っています。

■人手不足倒産は3年連続で過去最多
調査では、人手不足倒産の増加についても言及しています。
2025年度上半期(4〜9月)における人手不足倒産は214件発生し、上半期としては3年連続で過去最多を更新しました。通年でみても、2025年1〜10月の累計ですでに359件に達しており、2024年の342件を上回り、3年連続で過去最多でした。
企業からは、「若い人材は大手企業への就職が多く、求人を出しても応募者がいない」(舗装工事、岩手県)といった若手人材の不足を嘆く声があえいました。また、「案件は首都圏を中心に多く出てきているが、スキルマッチした要員が不足しており、受注に至っていない」(ソフト受託開発、新潟県)など、ハイスキル人材の取り合いになっているようすがうかがえます。
若手人材が首都圏に流出するなか、地方を中心に人手不足倒産のリスクは依然として高い状況が続いているようです。
調査は、全国2万5111社を対象に実施され、有効回答企業数は1万427社(回答率41.5%)でした。詳細は、帝国データバンクの発表資料で確認できます。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251117-laborshortage202510/

